ひだまりHoney
飲み会だけど、私的にはお別れ会だ。一緒にお疲れ様の乾杯をしたい。
「あげるのも、貸すのも嫌よ。晴暉は私の男なんだから」
言い淀めば、希世さんがふっと笑みを浮かべた。
「私の男なの! 貴方になんて渡さない」
カツリと、希世さんの靴底が鳴る。私へと一歩踏み込んできた。
「貴方になんて渡さないわ!」
鋭く突き刺すような視線にたじろいでしまう。逃げようとする右足に体重がかかった。
「私と晴暉の間に割って入ってこないで」
左足もわずかに下がってしまった。
「これから先、晴暉の隣にいるのは私よ」
希世さんの声が、何かの呪文のように聞こえた。目眩がしそうだ。