ひだまりHoney
「私なら、させません。紺野さんの笑った顔が大好きだし、私も紺野さんの隣で笑っていたいです!」
もう一歩希世さんに歩み寄る。
「私、紺野さんのこと、絶対諦めませんから! 失礼します!」
言い終わると同時に小さく頭を下げ、私は歩きだす。
後ろが気になったけれど、振り向きはしない。このまま言い逃げしておこう。
息を切らしたまま早足に通路を進み、階段を駆け上がる。
地下から地上に出て、私はやっと足を止めた。
腕を広げ、息を吸い込んだ。
「言ってしまった」
でも後悔はしてない。
気合いを入れるように両手を握りしめてから、私はみんなの待つ店に向かって走り出した。