ひだまりHoney
「確かにな。女性とこまめに連絡取ったりするのは憂鬱」
紺野さんは薄い橙色のハイボールをゴクリと飲んだ。
「サッカーしている時が、一番寂しさを紛らわすことが出来たから……その時間を女性に使うのが嫌だったんだ。そのくせ、告白されても断り切れなくて、付き合うことになっちゃったりするから、別れるためにまた時間を使うことになる」
彼の表情が苦笑いから真顔へと変わっていく。
ここからどんな言葉が飛び出すのか不安になって、私の顔もこわばっていく。
「結局、憂鬱だったのは……好きな人じゃなかったからだったんだ。俺さ、好きになった女とは、一回も付き合ったことがない」
「そ、そうなんですか?」
「俺が好きになる女は、大抵、晃に惚れるから」
紺野さんはモテる。
だから、両思いの日々を過ごしてきたのだろうと考えてしまいがちだけれど、ここで大田原さんを出されると、何となく納得させられてしまう。
「好きになってくれた女性を好きになれば良いのに、それも出来なかった……たぶん俺、恐かったんだと思う。誰かを本気で好きになって、その人が晃を好きになるのが」