ひだまりHoney
「……そんな」
「晃もそういうの敏感に察知するし、察知するとアイツすぐに惚れるから、気がつくと彼女にしてる。俺はそこに絶対割り込んじゃいけないから」
紺野さんは、またお酒を一口飲んだ。
そんな顔して飲んだら、悪酔いしてしまいそうだ。お酒を取り上げたくなる。
「俺、親父を小さい頃に亡くしてるんだ。その寂しさから逃げるために、ずっとサッカーに必死になってた」
「……そうだったんですか」
「亡くなってからずっと、母の兄さんが俺の父親代わりになってくれた」
「伯父さんですか?」
「そう、伯父さん。晃のお父さん」
「そ、それって社長のことですか!?」
「そう。昔から財力もそこそこあったから、そっちの面倒もみてくれてて、俺の好きなように進路も進ませてくれた。すごく感謝してる……でも晃には可愛そうなことをしたと思ってる」
遠い目をしてそう言った彼に、胸が苦しくなった。
気がつけば、紺野さん手の上に、私は自分のもう片方の手を重ね置いていた。
「俺たち親子が頼りすぎたから、晃の両親は離婚したようなものだから」
初めて知った事実。
辛い話だけど……私はもっと紺野さんの話が聞きたかった。彼の事を知りたかった。
心の内にある悲しみを私に分けて欲しいと、心底そう思った。