ひだまりHoney

しかし、現実は甘くなかった。

肩越しに後ろを見れば、鼻息の荒い小太り男が立っていた。

目が合った瞬間、男はにやりと笑う。

怖い。コワイ。気持ち悪い!

ほんのりと赤くなった顔をなぞるように濁った汗が流れ落ちていくのを見て、私は心の中で絶叫する。

挫けそうな気持ちを奮い立たせるべく、男を睨み付けてみたけれど、ヤツは怯むどころか、恍惚の表情を浮かべてきた。

口から魂が飛び出しそうになった瞬間、電車が大きく横に揺れた。

その揺れに便乗して、男の熱い体が私の背中に密着する。

そしてお尻に触れていた手が、ニットカーディガンの中に入り込んできた。

心の中で、また叫び声を上げた。

ヤツの無遠慮な手が、ブラウスの裾をまさぐり始めた。

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