ひだまりHoney
「……でも、紺野さんが誰かにこの話して、あの子達の耳に入ったら、私、会社に居づらくなっちゃう。お金ないし、ぎりぎりまで働きたいし」
「大丈夫です。紺野さんは絶対に言いふらしたりしません!」
「……そっか…………そうだよね。お願いします」
私がスマホの画面と向き合うと、美都里さんが腕にしがみついてきた。
「あ、でも。ちょっと待って……まずは、それとなく聞いてみて」
「それとなくですか?……じゃあ、メールで軽めに送ってみますか?」
メールの宛先に紺野さんのアドレスを入れ、私は本文を開いた。
『今日の夜って、時間ありますか? 話したいことがあるのですが。実は妊娠』
私は小刻みに首を振る。妊娠などと入れたら、全く軽めではないじゃないか。
最後の四文字を消そうとした瞬間、両肩に重みが乗った。
ぞくっと悪寒が走り、その拍子に、私は押してはいけない箇所を押してしまった。