ひだまりHoney

「……私、恐くて言えなくて」
「恐い? なんで?」
「私は晃さんが好き。でも晃さんは見合い相手との話が進んでるみたいだし」
「えーー!?」

美都里さんが抱えていた気持ちを切なく言葉にすれば、松戸桃宮が見事な叫び声を上げながらぴょんと跳ねた。

「お前ら大げさすぎる。しかもいちいち五月蠅いんだよ。もう帰れって」

うんざり顔の紺野さんに、二人は「ふぁーい」と気の抜けた返事をした。

「木村ちゃん! 結婚式の余興は、俺たちに任せろ」
「歌うか? 踊るか?……よし、とりあえずカラオケ行こうぜ」
「羽目の外し方を練習しよう!」

肩を寄せ合ってこそこそと話をしながら、二人は遠ざかっていった。

「おい二人とも! 晃より先に社内で言いふらすなよ!」
「はいはーい」
「りょーかーい」

やっぱり、相変わらずな二人である。

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