ひだまりHoney
「止めてください」
絡みついてくる腕を振り払おうとしても、抱きついてくる力は弱まらない。
そしてあろう事か、係長はぞっとする温かさをうなじに押しつけてきた。
がむしゃらに暴れると、強引な力が私の体をひるがえした。
とうとう、係長と向き合う形となってしまった。
「珠洲ちゃん」
私の両肩をがっちり掴むと、係長の小じわだらけの顔が、微かに口を尖らせ近付いてきた。
キスを求めるその顔に、身の毛がよだった。
「君も私の事を意識してるのは分かってるよ」
「何を言ってるんですか!」
顔を背けても背けても、ヤツの唇は近寄ってくる。
「止めてください!」
怒りに震える声で自分の気持ちを爆発させた時、ガツリと壁を殴りつける音がした。