ひだまりHoney
全員が渋い顔をしたところで、クラクションが鳴った。
道路に顔を向ければ、見たことのある車が停まっている。紺野さんが「はやっ」と呟いた。
運転席の扉が開き、大田原さんが軽やかに降りてくる。
「こんばんは。わぁ、美都里さんだけでなく、珠洲さんもいらしたんですね。お誘い有り難うございます。嬉しいです」
私たちはベンチから立ち上がった。
「皆さん、どうぞ車に乗って下さい……あ、食事の場所は決まっていますか?」
歩道に出たところで、先頭を歩いていた紺野さんが首を振った。
「夕飯食いに行きたくて、晃を呼び戻した訳じゃないよ」
「え? では、運転手としてだけのご指名ですか? 喜んで戻ってきたのに、それはちょっと寂しいですね」
「バカ。そんな訳ないだろ……ほら、木村」
紺野さんに背中を押され、美都里さんが大田原さんに歩み寄っていく。