ひだまりHoney
「何やってるんですか、上田さん」
いつの間にか給湯室入り口に、一人の男性が立っていた。
私を掴んでいた上田係長の手がびくりと反応する。
男性の握り拳が壁から離れれば、小さな破片がぱらりと床に落ちていく。
「う、わっ。ど、どうしてここに?」
「彼女から手を離して下さい」
「や、やだなぁ。これは」
「手を離す!」
係長は私の肩から手を離すと、降参するかのようにその手を上にする。
「平加戸さん、出て」
私は大きく頷くと、足早に男性の隣を通り、廊下へと走り出た。
「あのねぇ、これはねぇ」
「上田さん。ちょっと話しましょうか」
私は転がっていたトレーを震える手で掴み取り、恐る恐る給湯室へ顔をむけた。