ひだまりHoney

話し出せば、また紺野さんは笑い出す。卑猥な話で盛り上がっている。とても楽しそうだ。

弟の凉太は、紺野さんのいるアマチュアフットサルチームへ潜り込むことに成功し、今では紺野さんだけでなく、松戸さん達ともすっかり仲良くなってしまっている。

そしてさっき、弟は紺野さんのことを晴暉兄と呼んでいた。

その事に私は軽いショックを受けた。

よりによって弟に、私はまだ「紺野さん」と呼んでいるという事実を、気付かされてしまったからだ。

敗北感に指先で額を押さえれば、ホーム内に電車到着のアナウンスが流れた。

「あー、でも……まぁ、そうだけど……」
「電車来ますよ……は、晴暉さん」
「あ、電車来たって……珠洲と代わる? 分かった。じゃあ、また」

それとなく名前で呼んでみたけれど、気恥ずかしさに涙が出そうになる。紺野さんが全く気付かなかったから余計だ。

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