ひだまりHoney
紺野さんの足は止まらない。
「電車が……」
背後でぴーっと笛の音がなり電車の扉が閉まる。
電車が動き出した所で、やっと紺野さんは歩みを緩めた。
「待ち合わせとか、面倒くさいよな」
「へ?」
「凉太君いないし、珠洲は今夜一人だろ? それもちょっと心配だし……今夜は、俺の家に泊まるか」
泊まる!?
「泊まればずっと一緒だし、明日は二人のタイミングで出かけられる」
ちょっと待って欲しい。
心の準備を私はまだしていない。
エスカレーターに乗り込むと、紺野さんが高い位置から私を見下ろした。
「ちょっと予行練習してみないか?」
「なっ、何の予行練習ですか?」
本番は何かと考えれば、エッチな想像が頭の中でわき起こってしまった。
顔が熱くなっていく私に反して、紺野さんは真剣な面持ちになっていく。
「晃が木村と暮らせば、俺たちのルームシェアは近いうちに解消ってことになるだろ?……で、その先の事を考えると、俺は一人暮らしよりも二人暮らしがしたい」
「え?」
「その時が来たら、一緒に暮らさないか?」