ひだまりHoney

後の二品は、紺野さんがピース君の餌を買いに行っている間に、こっそりと買い求めた物だ。



そして……それを身につけて、今、私は扉の前で固まっている。

「ピース?」

紺野さんの不思議そうな声と同時に、扉をカリカリとひっかく音と、においを嗅ぐ音が聞こえた。

ただじっと立っていただけだが、ピース君には丸わかりだったらしい。

扉を僅かに押せば、紺野さんが「あっ」と声を出す。

「ほら、ピース。そこにいると珠洲が入ってこられないだろ?」
「ご、ごめんね。開けるよピース君……紺野さん、お風呂ありがとう」

飛びついてきたピース君を抱きかかえ上げ、私は紺野さんに向かって曖昧な笑みを浮かべた。

ピース君が来てくれたから、入る気になれました……などとは言えない。

ソファーに座っている紺野さんの手には紙。ローテーブルの上にはノートパソコン。

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