ひだまりHoney
「電話ですよ」
「え?」
嫌そうで面倒くさそうな「え」の響きに苦笑しながら、私は紺野さんの胸元を押した。
「本当だ……誰だよ」
紺野さんは私の手を掴んでキッチンを出ると、そのまま部屋へ向かう。
静かに扉を開ければ、その隙間からピース君が飛び込んでいった。
戸口で紺野さんは手を離し、一人暗い部屋の中に入っていく。
「…………どうした?……そっか。良かったじゃん……おめでとう」
ふふっと笑みを浮かべながら、彼は戸口に戻ってきて、部屋の明かりを付ける。
彼の顔を見れば、話し相手が「晃」だと私に向かって口を動かした。
口ぶりと表情から、朗報だろうということも伝わってきて、私も自然と笑みを浮かべてしまう。
ゆっくりと一歩踏み込み、まず目に付いたのは、縦長の書棚である。その一部はサッカーグッツで埋まっている。