ひだまりHoney

「電話ですよ」
「え?」

嫌そうで面倒くさそうな「え」の響きに苦笑しながら、私は紺野さんの胸元を押した。

「本当だ……誰だよ」

紺野さんは私の手を掴んでキッチンを出ると、そのまま部屋へ向かう。

静かに扉を開ければ、その隙間からピース君が飛び込んでいった。

戸口で紺野さんは手を離し、一人暗い部屋の中に入っていく。

「…………どうした?……そっか。良かったじゃん……おめでとう」

ふふっと笑みを浮かべながら、彼は戸口に戻ってきて、部屋の明かりを付ける。

彼の顔を見れば、話し相手が「晃」だと私に向かって口を動かした。

口ぶりと表情から、朗報だろうということも伝わってきて、私も自然と笑みを浮かべてしまう。

ゆっくりと一歩踏み込み、まず目に付いたのは、縦長の書棚である。その一部はサッカーグッツで埋まっている。

< 438 / 447 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop