ひだまりHoney
それだけではなく、至るとこからサッカー臭のするこの部屋は、本当に弟の部屋と似通っている。
弟が紺野さんにとても懐いている事を、今さらながら納得してしまう。これなら、話が合って当然だろう。
足下にいるピース君が大きなあくびをした。
そっと体を撫でれば、ピース君は紺野さんの部屋から出て行った。
「ピース君、どこ行くの?」
「……リビングのゲージに戻ったんだよ。いつもそこで寝てるから」
振り返れば、ちょうど電話を終えたらしい紺野さんが、スマホを見つめながら安心したように息を吐いた。
「お見合い相手とは破談になったって」
「本当ですか!」
「丁度、お見合い相手も実家に来てたみたいで、いろいろ大変だったみたいだけど」
彼の手の中にあった小さな画面が、再び明るくなった。
「えっ……」
メールの着信だったらしい。