ひだまりHoney
被害者が私で三人目だったという事実に戦き、微かな目眩に襲われる。
「僕と平加戸君は真剣に付き合ってるんだから、放っといてくれ!」
「根本的に間違ってるだろ! アンタは既婚者だ!」
ふっとある事に気付いて、私は上田係長を強い口調で責め立てていている男性の後ろ姿を、じっと見つめた。
声。さっき見た顔。そして、後ろ姿。
「あれ……あの人」
断言するほどの自信はない。
けれど彼が、今朝電車の中で私を助けてくれた人――……のような気がしてきたのだ。
「平加戸さんは、事務から外してもらいます」
「それは止めてくれ! ひとの恋路を邪魔するな」
「だったら奥さんに電話して、今からアンタの歪んだ妄想をぶち壊す話し合いでもしましょうか?」