ひだまりHoney

スラックスのポケットからスマートフォンを取り出して、彼は顔の横で振ってみせた。

やっと係長は言葉を飲み込み、黙った。

彼は大きくため息をつくと、電話をポケットに戻す。

「上田さん、もうこういうことは止めにしてください」

最後に彼は落ち着いた声でそう言うと、上田係長に背をむけ、給湯室から出てきた。

「行こうか。ミーティングの時間、もう過ぎてる。トレー貸して、置いてくるから」
「あっ、でも。私何も持ってきてません」
「上田さんがいない時、取りに戻れば良い。今は上にある筆記具を使って」

伸ばされた手に、抱え持っていたトレーを差し出せば、彼は急ぎ足で事務スタッフのいる室内へと入っていく。

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