ひだまりHoney
「ごめん! ここに置いとくから、後で片付けておいてくれるかな?」
彼は戸口近くの低い棚の上にトレーを置き、誰かに向かって少しだけ頭をさげた。
「良いですよ。私片付けます。置いといて下さい」
すぐに明るく可愛らしい……けど、誰か分からない声が返ってきた。
今のは誰だろうと、そんな疑問を持つ。
「有り難う、白川さん」
「どう致しまして!」
私の知っている彼女の声は、もっと低くて、時々掠れている。
あんな声も出るのかと驚きに包まれていると、室内から廊下へと戻ってきた彼が、私の顔を見て不思議そうな顔をした。
「え? 何?」
「……あっ、いえ。何でもありません」