ひだまりHoney

ちょっとだけ笑みを浮かべてから、彼は再びエレベーターに向かって歩き出した。私も慌てて後を追う。

ここは18階。二つあるエレベーターのうち片方が、ちょうど15階にいて、上昇中だった。

前を歩いていた彼が素早くボタンを押し、大きくため息をついた。

「腹も減ってるから、ちょっと頭くらくらする。上田さんも本当に……はぁ。色んな意味で目が回りそうだ」

後ろから、彼の大きな背中をじろじろと観察し、やっぱり今朝の人に似ていると、私は改めて思った。

もし本人なのならば、二回助けてもらった事になる。もっとしっかり感謝の言葉を言いたい。

声を掛けようとして、私は口ごもった。名前を知らないのだ。

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