ひだまりHoney
「……すみません」
「今の今まで、俺の事を痴漢の仲間とかストーカーとか、そんな風に思ってたとか言わないでくれよ」
頭を抱えた彼を見て、笑みが込み上げて来た。
「何笑ってんだよ」
そんな私を見下ろしながら、彼はちょっとだけふて腐れたような顔をする。
「ごめんなさい……あの。しっかり覚えますから、名前を教えてもらえますか?」
「え?」
私は彼のネームホルダーを指さした。
彼も自分の胸元を見て、ふっと笑みをこぼした。
「なんだよ、さっき見てたのはこれか。俺の服、どこか汚れてるかなって焦ったのに」
彼の指先がネームホルダーをひっくり返す。
私は近寄ることもせずに、その場からじっと顔写真と名前を見つめた。