ひだまりHoney

「……なんだか遠くない?」
「あ、ここからでも見えますから、お構いなく」

ため息交じりに彼はネームホルダーを首から外し、ぐっとその手を私に伸ばしてきた。

「俺は紺野晴暉。名前、ちゃんと頭に叩き込んで下さい。後で抜き打ちテストするからな」

受け取った瞬間、ちょっとだけ私の指が彼の手に触れた。

強ばってしまった私の手の平へと、彼はそれを落とした。

手にしたホルダーの中で笑みを浮かべる顔は、確かに目の前にいる彼である。


紺野晴暉。

この人が紺野晴暉。


「さてと、ミーティング始めるか……入って」
「はい」

手の中にあるネームホルダーをそっと握り締め、私は大きく頷いた。

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