ひだまりHoney
二章、
大田原さんの思い描く空間
「今日中に、これを取り引き先にファックスして下さいね。あ、それから郵送先のリストをこちらに送ってもらうお願いも忘れないで下さい。オーケーが出ましたら印刷所に……」
大田原さんの口から出てきた指示を、頭の中で箇条書きにしながら、私は相槌を繰り返した。
「宜しくお願いします」
「はい」
足早に自分の席へ戻りながら、僅かに視線をあげ室内を見回す。
ちょっとだけ見慣れてきたこの部屋は、事務業務をしていた部屋よりも二倍広い。
そして、広さに比例するように、多くの人が働いている。
ここにいるみんなは、事務と違って固定されたデスクを持ってはおらず、その時その時で携わっているイベント毎に塊となって仕事をしている。