ひだまりHoney
「うぅっ、いってぇ」
私の服の中から、男の手が苦痛の声と共に引いていく。
怖々と振り返れば、背の高い男の人が汗ばんだ変態の手を捻り上げていた。
「お前、何やってんだよ!」
焦げ茶色の髪の下にある端整な顔は、苛立ちを露わにしている。
低く発せられた怒りの言葉は車両の中に響き渡り、人々がざわめき出した。
停車しドアが開いた瞬間、小太りの変態は掴みあげられていた手を乱暴に叩き落とし、素知らぬふりで電車を降りようとする。
「ふざけるな! 待てよ!」
私を取り囲んでいた変態仲間が、逃げる男を捕まえようする好青年の行動をさりげなく妨害する。