ひだまりHoney
そして邪魔するだけ邪魔した後、彼らも素知らぬ顔で電車を降りて行ってしまった。
「痛てて……あー、くそっ! 逃げられた」
善人の如し男性は小太りのおじさんに力一杯叩かれた手の甲をさすりながら、窓ガラスの向こうの人の流れに眉をしかめた。
「大丈夫……って聞きたいとこだけど、大丈夫なわけないよな」
大きな瞳が私を見下ろす。同情の色合いが見て取れた。
「……いえ、大丈夫です。助けて頂き、本当に有り難うございました」
私は小さく頭を下げると、そのまま視線を落とした。
大丈夫……これくらいのこと、大丈夫。
助けてもらって、無事だったんだから。