ひだまりHoney
『紺野さん、絶対に悪用しないで下さいよ』
ゆっくりと息を吐き出してから、私は紺野さんに向かって歩き出した。
赤外線で情報のやり取りをするのは、そんなに時間はかからない。
でもやり取りするには、それなりに接近しなければいけないわけで、自然と口元が強ばってしまった。
『ちょっとだけ、我慢して……すぐ済むから』
小さな声で彼が私に囁いた。
その気遣いに、また背中を押され、私は久しぶりに男性とアドレス交換をすることができたのだ。
その後、夜遅くに紺野さんからメールが送られてきた。
木村さんと私へ同時に送られたメールの内容は、本当に他愛のないものだった。