ひだまりHoney
「えっ、ちょっとどこ行くの? もしかして自宅がこの近くで……朝帰りとか?」
「違います! 私も紺野さんと同じ電車に乗って来ました!」
「だよな。そういうタイプじゃないよな……ん? 何だよ、同じ電車に乗ってるって気付いてたんだったら、声くらい掛けろよ」
「……すみません」
俯くと、頭上でふふっと笑う声が聞こえた。
「まぁ今回は見逃してやろう。だから、これからは声かけて。俺も気付いたら声かけるからさ」
「はい」
ちょっと意地悪そうな表情を浮かべたあと、紺野さんはまた面白そうに笑う。
「で、どこ行くの?」
「仕事の時間になるまで、そこでコーヒーでも飲んでまったりしようかと」
「……へぇ。別に用事があるわけじゃなく、暇なんだ」