ひだまりHoney
捲りあげられたブラウスの裾をスキニーパンツに押し込めば、足が震えだす。
私はそれに気付かないふりをした。
変態に遭遇してしまうのは、私にとってよくある話だ。
小学校の時、下半身を露出した変態と鉢合わせしてしまったのを皮切りに、たびたび私は変態から嫌な目に遭わされてきた。
知らない男とは目を合わせない、喋らない。
混んでいる電車は乗らない。
路駐している車からは、充分に距離を取る。運転席を見ない。
暗い夜道は歩かない。
どうしても仕事で夜遅くなってしまった時は、お店の中で弟の迎えを待つ。
安全な道を進むための選択肢を慎重に選びながら、私は今まで生きてきた。