ひだまりHoney

コンビニ袋から小さなペットボトルを取り出し、紺野さんはそれを私に差し出してきた。

「はいどうぞ」
「な、何ですか?」
「これ? コーヒー」
「……はい。そうですね、コーヒーです」
「あげる」

何度も受け取るように促され、私は渋々それを掴み取った。

「受け取ったな」

私が手に取った瞬間、紺野さんが不敵な笑みを口元にたたえる。私は眉根を寄せた。

「このまま社に行って、一緒に仕事しよっか。その方が、一人でぼんやりしてるより何倍も楽しいよな!」
「はい!? 楽しくないです。良いです、返します」
「返品は一切受け付けません。あしからず」
「紺野さんっ!」

歩き出した紺野さんの背中を睨み付けていると、くるりと振り返り、彼は破顔する。

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