ひだまりHoney
「そんな顔するなよ。仕事しろってのは、冗談だから……まぁ、俺はするけどね」
「もう! からかわないで下さい。これ返します!」
「だから受け取らないって。一緒に行こうっていう部分は、本気だから」
「えっ」
「ほら、早くおいで」
少し離れたところから紺野さんが私を手招きする。でも私は動けなかった。
「なんか犬みたいだな……ほら、平加戸ー、おいでー」
「犬じゃありませんから!」
まるで犬を呼ぶときの様な声音で、紺野さんが私を呼んだ。
ちょっとイラッとしたけれど、凍り付いていた私の足はちょっとだけ前進し始めた。
「そうか? 平加戸はウチで飼ってるチワワみたいだぞ」
「チワワ飼ってるんですか?」