ひだまりHoney

社に着いて、セキュリティを通り、エレベーターの前に辿り着く。長かった。

「野菜ジュースもあるけど、コーヒーで良かった?」

手に持っていたビニール袋を少し持ち上げて、紺野さんは私に問いかける。

コーヒーと一緒に購入したらしい野菜ジュースの細長いパックが、半透明の袋の中に見えた。

私は首を振った。

「ちょっと眠いので、コーヒーの方が……あの。本当に頂いてしまって良いんですか?」
「良いって……それより、昨日あんな時間にメールしてごめん」
「いえ。寝てました」
「起こしちゃったりしなかった?」
「はい。熟睡してましたから……返信出来なくてすみません」

ごめんなさいと付け加えれば、紺野さんが小さく笑う。

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