ひだまりHoney
ききっとブレーキ音が鳴り、窓の向こうが再び明るくなる。
「会社まで一緒に行きたいとこだけど、俺ここで降りなくちゃ……平気?」
「……平気です。本当に、有り難うございました」
助けてくれた男の人にもう一度頭を下げながら、先の言葉を頭の中で復唱する。
か、会社まで、一緒に行きたい!?
ちらりと視線を上げれば、切なげな笑みを湛えた口元が見えた。
助け出してもらっといて申し訳ないのだけれど……そこまでして頂かなくて結構だ。
今さっきの彼の行動が、本当に善意からのものだったのだろうかと、勘ぐってしまう。
普段優しそうな顔の人が、真逆の顔を持ち合わせているということもあると、私はよく知っているのだ。