ひだまりHoney

「平加戸さん、持ちましょうか?」
「大田原さん。だ、大丈夫です。平気です。これで最後ですし、運びます」

寄ってきた大田原さんが手を伸ばしてきたけれど、私はそれを大回りするように避け、戸口を目指し進んでいく。

「やせ我慢しないで下さい」

大田原さんは再び私の行く手を遮ると、また手を伸ばしてきた。

「本当に大丈夫です……ので、ちょっと退いてもらえますか?」
「……そうですか。じゃあ、運びながらで良いので、僕の話を聞いてもらえますか?」
「はい」

私の前から隣へと大田原さんは移動し、小さく咳払いをした。

「早速。誘いに来ました」
「はい?」
「平加戸……いえ、珠洲さん。僕と、付き合ってみませんか?」

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