ひだまりHoney

心臓が重々しく脈を打っている。

大丈夫、これは大田原さんの手だ。きっと、乱暴に突き飛ばすような事はしない。

男性の割には綺麗な手だ。いっそ女性の……美都里さんの手だと思い込めば良い。

自分をごまかす言葉を頭の中で並べてみたけれど、その手の大きさと、肩を掴む力加減に、やはり男の人の手だという事実を実感させられる。

私の体は仰け反ったまま、動かなくなった。

「おっ、おい、晃!」

紺野さんが口早に大田原さんの名前を呼んだ。

「何か?」

すっと大田原さんの手が離れ、金縛りが解けていく。

大きく息を吐いた。

「……いや。別に。気を付けて」
「晴暉も頑張って下さいね」
「行こう、珠洲ちゃん! お腹空いちゃった!」
「あ、はい」

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