丹後の国の天の川。
島子の家に戻っては来たものの、島子にかける言葉が見つからない。
もうじき逢魔が時で、夕闇が訪れる。
戸口の前で右往左往するあずみ、あわてた様子で戸口がはずれて、ロウソクを手にした島子と視線がぶつかった。
「無事でよかったあ。捜しに行こうと思ってたんだ。心配したよ」
「ご、ごめんなさい」
謝ることで精一杯だったようだ。
「さあ、中へ。夕飯のしたくは出来なかったから、今から作るけど」
「あの。食事はいいから、見たいものがあって。一緒に見てくれる?」
「いいけど」
あずみは明かりを部屋において外へ出てくる島子に、夜空を指差した。
「ここの自慢でしょ。あの星も、この星もキレイ。私ね、大好きな人と一緒に、夜空を見上げるのが夢だったから、かなってうれしいんだ」
「え。それって…」
島子はあずみの顔を覗き込むようにして尋ねた。
「私は島子さんが好きなの。一瞬で燃え上がる恋もあるって、そういわれたけど、島子さんは私のこと、おかしいと思うでしょ。昨日知り合ったばかりなのに」
「おかしいといえば、あずみは変わってるし、妙なこと口走るし、とても変な子だと思ってる。でもそういうところが面白い。ぼくはイヤじゃないよ」
「お、面白いんだ」
「だって、もう少し時間がほしいよ。きみのこと、もっと知りたい」
島子はあずみの両手を、自分の両手で握り締めて、少しずつ顔を近づけていく。
「冷たい手だね。すっかり、かじかんでる」
「暖かい、島子さん。好きになってよかった」
近づいてくる島子を受け入れるように、あずみは瞼を閉じた。
今宵はふたご座流星群。たくさんの星が落ちる夜。
星が落ちるように、若い男女もまた、恋に落ちる夜…。
もうじき逢魔が時で、夕闇が訪れる。
戸口の前で右往左往するあずみ、あわてた様子で戸口がはずれて、ロウソクを手にした島子と視線がぶつかった。
「無事でよかったあ。捜しに行こうと思ってたんだ。心配したよ」
「ご、ごめんなさい」
謝ることで精一杯だったようだ。
「さあ、中へ。夕飯のしたくは出来なかったから、今から作るけど」
「あの。食事はいいから、見たいものがあって。一緒に見てくれる?」
「いいけど」
あずみは明かりを部屋において外へ出てくる島子に、夜空を指差した。
「ここの自慢でしょ。あの星も、この星もキレイ。私ね、大好きな人と一緒に、夜空を見上げるのが夢だったから、かなってうれしいんだ」
「え。それって…」
島子はあずみの顔を覗き込むようにして尋ねた。
「私は島子さんが好きなの。一瞬で燃え上がる恋もあるって、そういわれたけど、島子さんは私のこと、おかしいと思うでしょ。昨日知り合ったばかりなのに」
「おかしいといえば、あずみは変わってるし、妙なこと口走るし、とても変な子だと思ってる。でもそういうところが面白い。ぼくはイヤじゃないよ」
「お、面白いんだ」
「だって、もう少し時間がほしいよ。きみのこと、もっと知りたい」
島子はあずみの両手を、自分の両手で握り締めて、少しずつ顔を近づけていく。
「冷たい手だね。すっかり、かじかんでる」
「暖かい、島子さん。好きになってよかった」
近づいてくる島子を受け入れるように、あずみは瞼を閉じた。
今宵はふたご座流星群。たくさんの星が落ちる夜。
星が落ちるように、若い男女もまた、恋に落ちる夜…。