理想の恋愛関係
「……どうしたの? その顔」


泣き過ぎで浮腫んだ顔を見た瞬間、鈴香が高い声を出した。


「……ちょっと失恋しちゃって」


私はそう答えるとデスクに座り、パソコンの電源を入れた。


「え、失恋って……え、今更?」


鈴香は驚いたような呆れたような、複雑な顔をした。


確かに自分でも今更と思うから、反論しない。


「優斗君の事本当に忘れる。茜さんも退院するし病院にも行かなくなるし」

「……何か有ったの?」

「……有ったけど……今度話す」


今はまだ気持ちが落ち着かない。

話したら、涙が出そうだった。




数日後。


私は退院前日の茜さんに会いに行った。


優斗君のお母さんに、最後の花を贈って、もう二度と病院に近寄らないと決心した。
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