理想の恋愛関係
「……はい」

「緑さん?……二ノ宮です」

「は、はい」


以前と変わらない優斗君の声が聞こえて来て、心臓がドキドキとして目眩がしそうになる。


「久しぶりです。今、大丈夫ですか?」


私とは対照的に優斗君は落ち着き払っている。


「あ、大丈夫……あの久しぶりだけど……優斗君何か有ったの?」


私からすれば久しぶりでも何でも無いけど、それよりもどうして優斗君が電話をして来たのかが気になった。


「いえ、何か有った訳では無いんですが……」


優斗君は少し躊躇ってから続けて言った。


「緑さん、近い内に会えませんか? 場所と時間は緑さんの都合に合わせますから」

「……ええっ?!」


まさかの優斗君の言葉に、私は驚きの声を上げた。


な、なんで突然?


混乱していると、再び優斗君の声が聞こえて来た。


「都合悪いですか?」


「いえ、全く……私は何時でも、どこでも大丈夫」


優斗君を忘れて完全に縁を切ると言う固い決心も忘れて叫んでいた。


「え……そうですか。では以前会ったレストランで……」


優斗君は少し引いたような様子を見せながらも、場所と時間を伝えて来た。


電話を切った後も、呆然としたままなかなか頭が回らなかった。
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