理想の恋愛関係
「初恋レベルの初々しさだね」


鈴香に冷めた口調で言われたけれど、少しも気にならなかった。


確かに今まで、デート一つにこんなに浮ついた気持ちになった事は無い。


しかも正確にはデートではなく、相手とは付き合ってすらいない。


過去付き合っていた時にも、キスすらして貰えなかったと言う完璧に健全過ぎる関係。


こんな恋愛、学生の時もした事ない。


それなのに、どうしてか毎日が幸せで充実した気分だった。





待ち合わせ場所には既に優斗君が待っていた。


会社帰りのスーツ姿で、少しうつむき加減で佇んでいる。


まさか優斗君が先に来ているなんて。


慌てて腕時計に視線を落とし、時間を確認する。

7時5分前。


待ち合わせは、7時丁度。


仕事が立て込んでいて、いつもより到着が遅れてしまったけど、待ち合わせ時間には遅れていない。


優斗君、どうしてこんなに早く来てるのだろう。


分からなかったけれど、とにかく急いで駆け寄った。
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