理想の恋愛関係
「優斗、どういう事?」


いきなりの喧嘩腰な発言に、驚いた。


でも優斗君は伏し目がちになって、黙っている。


「今は大変な時期だって分かってるはずだよ? またいい加減な事をしたら許さないよ?」

「はい、分かっています」


優斗君は反論せずに頷いているけれど、私は段々とイライラして来た。


この女性はどうしてこんなに偉そうなんだろう。


しかも優斗君にまたいい加減な事するな、なんて言うなんて。


優斗君は仕事も家の事も悩みながら頑張っているのに。


そう言ってやりたかったけど、私は優斗君の事情を何もかも知ってる訳じゃない。


むしろ知らない事の方が多いのだと思う。


だから悔しく思いながらも、何も言えなかった。


「分かっているならいいけど。
それじゃあ邪魔をして悪かったね」


高柳さんは後半は私に言い、連れの男性を引き連れて奥の席へと去って行った。


姿が見えなくなると、優斗君は緊張を解いた様に息を吐いた。


それから疲れた様子で椅子に座った。


私も続いて腰を下ろす。


「優斗君……今の人は誰? すごく感じが悪かったけど」


つい本音を漏らしてしまうと、優斗君は苦笑いをしながら答えた。
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