理想の恋愛関係
「二ノ宮優斗のような男ばかりじゃない。もう過去は忘れろ」
全く過去じゃないし、忘れる訳がない。
兄の話を無視していると、最後は泣き落としにかかって来た。
「頼む。会うだけでいい、今更キャンセルは出来ないんだ」
「嫌なんですけど」
「相手に会う前に断る事は絶対に無理だ。立場上、こちらからは断れない」
頭を下げる兄の様子に、私は溜め息を吐いた。
この様子じゃ、相手は取引先の関係とか、兄より立場が上の人間だろう。
兄も見合いを押し付けられたのかもしれない。
「……会っても断るけど」
妥協して言うと、兄はあからさまにホッとした顔をした。
「それでいい。気に入ったら話を進めてもいいし」
「それは有り得ないから」
まあ会うくらいは仕方ない。
兄の立場も少しは考えなくては。
相手から断って貰うのがベストだから、上手く妻としては不向きと思われる方向に仕向ければいい。
簡単だと思った。
「話が終わったなら、部屋に戻るから」
「ああ、週末は空けておくんだぞ」
兄の言葉を聞き流し部屋に戻ると、すぐに手提げ袋から箱を取り出した。
美味しそうだけど……でも、せっかくの優斗君のプレゼント。
一気に食べるのは勿体なさすぎる。
少しずつ食べる事にしよう。
私は焼き菓子を一枚だけ食べ、残りは大切に引き出しに仕舞った。
全く過去じゃないし、忘れる訳がない。
兄の話を無視していると、最後は泣き落としにかかって来た。
「頼む。会うだけでいい、今更キャンセルは出来ないんだ」
「嫌なんですけど」
「相手に会う前に断る事は絶対に無理だ。立場上、こちらからは断れない」
頭を下げる兄の様子に、私は溜め息を吐いた。
この様子じゃ、相手は取引先の関係とか、兄より立場が上の人間だろう。
兄も見合いを押し付けられたのかもしれない。
「……会っても断るけど」
妥協して言うと、兄はあからさまにホッとした顔をした。
「それでいい。気に入ったら話を進めてもいいし」
「それは有り得ないから」
まあ会うくらいは仕方ない。
兄の立場も少しは考えなくては。
相手から断って貰うのがベストだから、上手く妻としては不向きと思われる方向に仕向ければいい。
簡単だと思った。
「話が終わったなら、部屋に戻るから」
「ああ、週末は空けておくんだぞ」
兄の言葉を聞き流し部屋に戻ると、すぐに手提げ袋から箱を取り出した。
美味しそうだけど……でも、せっかくの優斗君のプレゼント。
一気に食べるのは勿体なさすぎる。
少しずつ食べる事にしよう。
私は焼き菓子を一枚だけ食べ、残りは大切に引き出しに仕舞った。