理想の恋愛関係
「派遣社員の吉沢留美。
彼女、部長の事いつも見てますよね」

「え……」

「この前の飲み会でもずっと二人で居たし、部長もまんざらでも無いんですよね?」


興味津々といった様子で聞いてくる宮田から、優斗は目を逸らして言った。


「少し話してただけだ」

「え~結構いい感じだったんですけどね」

「変な噂にするなよ」


宮田に釘を刺すと、優斗は疲れた溜息を吐いた。


今はそんな事考えている場合じゃない。


冷静になれば、緑の事で腹を立てる事もおかしい。


緑が自分に報告しなかったからと言って、気を悪くするのは自分勝手な考えだし緑は何も悪くない。


「そろそろ行くか。この後予定が有るんだ」


宮田にそう言い立ち上がった。



ホテルの出口に向かい歩いていると、鮮やかな赤が目に飛び込んで来た。


足を止めると、見合い中のはずの緑がなぜか一人で歩いていて、優斗に気付くと顔色を変えて立ち止まった。
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