理想の恋愛関係
「あれ、さっきの……」

「ゆ、優斗君?!」


一瞬の沈黙の後、緑と宮田が同時に声を上げた。


「え……部長の知り合いだったんですか?」


動揺して落ち着かない様子の緑に目を遣りながら、宮田が聞いて来る。


「ああ……宮田、先に帰ってくれないか?」

「え? あ……はい。失礼します」


宮田は気になって仕方ないといった様子ながらも、頭を下げてホテルを出て行った。


「あ、あの、優斗君……」


宮田の姿が見えなくなった途端に、緑が寄って来た。


「……今日は見合い?」


緑の言葉を遮ってそう聞くと、緑は顔を強ばらせた。


「あっ、あの違うの!」

「……その格好は?」

「えっ? これは……お見合いなんだけど、でも違うの。
精神的には見合いなんてしてないから」

「は?」


訳の分からない緑の言葉に、優斗は眉をひそめた。
< 162 / 375 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop