理想の恋愛関係
「よく分からないけど……別に俺に弁解しなくていいから。席に戻ったら?」


なぜか妙にイライラとして、冷たい口調になってしまった。


これじゃあ、緑の見合いを知って怒っているみたいだと思った。


小さく息を吐いて気持ちを落ち着かせると、いつもの口調で言い直そうとした。

けれど、「優斗君! 弁解させて!」緑が掴みかかって来たので、呆気に取られた。


「な、何?」

「見合いしてるけど、兄に言われて仕方なくなの。本当は嫌だったけど泣き落としまでされて仕方なくだったのよ。
とりあえず会って断る予定なのよ」

「そ、そう……」

「私には優斗君しかいないから!」

「……」


必死の形相の緑は、周囲の目に気付いていないようだった。


ただでさえ目立つ着物姿なのに、大声で告白。


近くに見合い相手が居たらどうするつもりなのだろう。


顔がひきつるのを感じながら、優斗は緑を引っ張っり隅の方に移動した。
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