理想の恋愛関係
「……俺は結婚しようと思っている。だから先に緑の縁談を決めたかったんだ」

「……は？」


あまりに思いがけない言葉だったから、私はポカンと口を開いた。


結婚って……。


「すればいいじゃない。でも何でそれに私の結婚が関係するわけ？」

「お前が独身なのに、俺が先に結婚する訳にはいかないだろ？」


全く問題無いと思う。


「私も周りも気にしないから、どうぞ結婚して下さい」

「……だが、結婚したら同居になるだろ？　お前も何かと気を遣う事になるし、相手も……」


言葉を濁した兄を見てピンと来た。


つまりは小姑が同居している状態を回避したいから私を嫁に出したかったという事だ。


「だったら私は一人暮らしするから、それで問題ないでしょ？　なんで余計な事して面倒な状況にするの？」

「俺の結婚で、お前を追い出すような事はしたくない」

「別に私は気にしないけど。一人暮らしの経験も必要だと思うし」

「お、お前、もうちょっと悩んだりとか無いのか？」

「袋小路さんの事は悩んでるけど、まあとにかく断ってよ……それより相手はどんな人なの？」


兄の恋愛なんて全く関心は無かったけど、結婚となれば相手は気になる。

兄はなぜか、かなり気まずそうな顔をした。
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