理想の恋愛関係
そう言えば、優斗君のお母さんは住まいを変えた事で精神を病んでしまったんだった。


「優斗君……お母さんの具合はどう? そろそろ退院なんでしょう?」

「ああ、先日医師と話して来た。来週には退院する」

「そう……それじゃあ家事はお母さんがする予定なの?」

「いや、まだそこまでは……週に一回家事のサービスを頼もうと思ってる」


週に一度じゃ、不十分じゃないのだろうか。


優斗君だって仕事が忙しいんだから、お母さんの事ばかり構っていられないだろうし。


心配になる。


「緑さんとも、今みたいには会えなくなるな」

「え……」

「母さんが落ち着くまで、出来るだけ家を空けたくないから」


そ、それはそうだけど。

確かに病気のお母さんを放置出来ないかもしれないけど。


優斗君に会えないなんてショック過ぎる。


優斗君は私の沈んだ心情に気付く事は無いようだった。


「母さんが戻る前に掃除もしないとな」


面倒そうに、そう呟いた。


「優斗君、私掃除手伝うわ!」


思わず身を乗り出してそう言った。


「は?」


優斗君が家から出られないなら、私から行けばいい。


「一人じゃ大変でしょ? 手伝うわ」


拒絶されなければ、いいけれど
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