理想の恋愛関係
あっという間に土曜日を迎えた。


本当は仕事が入っていたけど、鈴香に頼み込んで代わって貰った。


その代償は高く、当分鈴香にこき使われる日々が続くだろうけど、そんな事は気にならないほど、朝からウキウキとしていた。


そして、緊張もしている。


優斗君のお母さんとは以前何時顔を合わせた事が有るけれど、全く会話は弾まなかった。


お母さんの雰囲気は独特だから、何を言えばいいのか分からなくなって、つい無口になってしまっていた。


でも……今日はそんな受け身な態度を取る訳にはいかない。


お母さんの気持ちを盛り上げる楽しい話題を提供して、お母さんからも、

―緑さんが、優斗のお嫁さんに来てくれたらいいのに―

なんて言われたい。


外堀から埋める作戦も有るって言うし、とにかく今日は勝負の日だった。


清楚に見えるワンピースに着替え、お母さんが好きだと言った花籠を持つと、意気揚々とマンションを出て優斗君の家に向かった。
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