理想の恋愛関係
「緑さんとは今は友人として付き合ってるんだ。この前話しただろ?」

「え、そうだった?」


呆れた様な優斗君に、お母さんは首を傾げて答えた。


とりあえず、優斗君が宣言してくれて良かった。


お母さんの認識が、関係無い人から、友達にランクアップしただろうし。


それにしても……早くも会話が途切れてしまった。


なんとなく気まずい空気が漂い始めている。


……何か話さないと。


焦っていると、優斗君がソファーに座る様に促してくれた。


座る途中、ガランとした飾り気の無い庭が目についた。


「……日当たりの良い庭ですね。植物を植えたら良く育ちそうですよね」


花が好きなら、ガーデニングや家庭菜園に興味が有るかもしれないと思った。

お母さんはなぜか考え込む様な顔になり目を伏せた。


ひたすら沈黙が続く。


いつの間にか、お母さんの顔色が悪くなった気もする。


……そんな難しい事言ってないつもりだけど。


早速、間違った話題を振ってしまったのかもしれない。


私の方が青ざめたい気分だった。


と、とにかく、なんとか挽回しないと……。


必死に対策を考えていると、


「ここの庭じゃ……狭いし花壇を作るなんて……」


今更の様にお母さんが発言した。


まさか、今までの沈黙は返答考え時間だったって事?


え……これがお母さんのテンポ?


こ、これは……。


お母さんとの会話は、想像以上に手ごわそうだった。
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