理想の恋愛関係
一向に弾まない、殆ど一方通行の会話にさすがに疲れを感じた頃、電話の対応で席を外していた優斗君が戻って来た。


「ごめん、会社からでなかなか切れなかった」


優斗君は私をお母さんと二人きりにした事に罪悪感を持っているのか、気まずそうな顔をして言った。


「気にしないで、仕事なんだから仕方ないわ」


本当の事を言うとキツかったけれど、態度に出さずニコリと微笑んだ。


私はお母さんと上手くやれるってアピールを忘れてはいけない。


通じたかは分からないけれど、優斗君は優しく微笑んでくれた。


最近は私にも優しい笑顔を向けてくれるようになった。


本当に嬉しい。

疲れも吹き飛ぶってこの事だ。

気持ちが盛り上がり、このままプロポーズでもしたい気分になった。


もちろん実際、そんな馬鹿な真似はしないけど。


でも……本当に優斗君と結婚出来たら……休日の昼間はこうやって家族団欒して、そして夜は二人きりで情熱的に……。


そんな幸せな想像に浸っていると、

「緑さん、夕食はどうする?」

優斗君が、想像とは全く違ったクールな声で問いかけて来た。
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