理想の恋愛関係
「え? 夕食?」


時計を見ると、まだ午後4時を回ったばかりだった。


夕飯の心配をするには早過ぎるような……。


首を傾げる私に、優斗君は説明してくれた。


「母さんは寝るのが早いから、夕食の時間も早いんだ。
配達して貰うか買いに行くかするんだけど、緑さんも一緒に食べていかないか?」

「え……ええ、迷惑じゃ無かったら」


基本的に私は何時だろうが食べられるんだけど、それにしても優斗君のお母さんの生活って老人みたいだと思った。


まだ50才超えたくらいだと思うんだけど……病気のせいなのだろうか。


そんな事を考えていると、お母さんがポツリと言った。


「たまにはあっさりとした和食が食べたいわ。優斗が用意するのは、いつも味の濃いものだから」

「仕方ないだろ?」


優斗君は少しムッとした様子で言う。


確かに出来合いの物は味が濃い目だけれど、優斗君に文句を言ったら可哀想だと思った。


優斗君には料理する余裕なんて無いだろうし……そこまで考えてハッとした。


だったら私が作ればいい。

こんな時にボンヤリしているなんて、私ってば何をしているんだろう。


「あの! 良かったら何か作ります。和食は得意なんで」


思いがけないアピールチャンスに、私は最高にやる気になりながら言った。


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