理想の恋愛関係
「……え?」


生臭い?

優斗君って生の魚苦手だった?


「俺、この匂い駄目なんだ……ところで、何を買うんだっけ?」


……完全に拒否している。


優斗君の家で、魚をさばくなんて有り得ない事が判明した。


「……に、煮魚なんてどう? あっさりした味付けで。
あそこに美味しそうな切り身が売ってるし」


素早く予定を変更すると、優斗君は笑顔で言った。


「あ、いいな。煮魚は好きなんだ」


煮魚は好きなんだ。


いつも優斗君を観察しているけれど、その割に細かい好みは知らなかった事に気が付いた。


今までのイメージで、食べ物にあまり感心が無いんだと思い込んでいた。


でも違っていた。

これは、優斗君の事をもっと知るチャンスかもしれない。


やっぱり、食の好みや価値観が合うかは重要だし。


幸い、私には好き嫌いは無いから何でも合わせられるし、そうしたら二人で楽しく食べ歩きとか出来るかもしれない。


「他に好きな物は有る? 何でも言って!」


張り切って聞くと、優斗君は少し戸惑いながらも答えてくれた。
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