理想の恋愛関係
目の前が真っ暗になったような最悪の気分のまま、駅に向かう道を歩いた。


このダメージ……さすがの私も簡単には浮上出来ない。


優斗君にどう思われているのか想像すると、怖かった。


でも妄想は止まらない。


―緑さんの無神経さには呆れた。俺達の付き合いはこれで終わりだね―


次に会った時、冷たくそんな事を言われてしまうかもしれない。


そして優斗君の家にはあのヤケに可愛らしい部下の女の子が通って、


―部長、お母様の為に一緒に料理しましょう―


とか、さり気なく優斗君に頼りつつ、いい嫁アピールもするのかもしれない。


そんな事を頭の中でグルグルと考えていると、

「……緑さん!」

まさかの優斗君の声が聞こえて来た。


幻聴かと疑いながら振り返った先には、息を切らした優斗君の姿が有った。


「ゆ、優斗君……」

「緑さん……歩くの速すぎないか?」


動揺する私に、優斗君は苦笑いをしながら言った。
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